Catalystスイッチ Voice VLAN設定

Network

Catalystスイッチを使用してVoice VLANの設定をします。

使用するネットワーク機器は、Catalyst 3570になります。
使用するIP Phoneは、Cisco IP Phone 7861になります。

設定可能なCatalystスイッチ例

  • Catalyst 2950
  • Catalyst 2960
  • Catalyst 3560
  • Catalyst 3570

Voice VLANのメリット

IP Phoneを導入する場合にスイッチのポート数が足りなくなるという懸念が出てきます。

理由としては、IP Phoneを接続するためにスイッチのポートを1つ使用することになるために、導入台数分のポートが必要になるからです。また、PCを接続するポートも1つ必要になるわけですから、2倍のポート数が必要になります。

Voice VLAN機能を使用すれば、PCとCisco IP Phoneと接続、Cisco IP Phoneとスイッチを接続をして1ポートで済みます。

前提条件として、接続する Cisco IP Phoneは802.1Qのトランク機能をサポートしている必要があります。

Voice VLANとは

Voice VLANは、Cisco IOSの独自機能であり、Cisco IP PhoneとPCを異なるVLANに配置できる機能になります。

Voice VLANを利用することで、Catalystスイッチの1つのアクセスポートにPCのデータトラフィック用のVLANとCisco IP Phoneの音声用のVLANの2つを混在させられます。

つまり、トランクポートでなければ実現できないことをアクセスポートで2つのVLANの混在を実現できます。また、アクセスポートのリンク自体はトランクリンクの動作になります。

Voice VLAN 物理接続と論理構成

Voice VLAN データ通信の流れ

PC ⇔ Cisco IP Phone間はアクセスリンクですが、 Cisco IP Phone ⇔ Catalystスイッチ間はトランクリンクになります。

PCのDataトラフィックはNative VLANで送信され、Voiceトラフィックは、Voice VLANと識別できるように802.1Qのタグが付けられて送信されます。

Voice VLAN設定について

Voice VLANを設定する機器はCatalystスイッチだけであり、Cisco IP Phone側に設定する必要はありません。

Voice VLANを設定する条件として、Catalystスイッチで音声VLANの設定とCDPを有効にします。
なお、CDPはデフォルトで有効になってます。

Voice VLANが設定されたCatalystスイッチにCisco IP Phoneを接続すると、 Catalystスイッチは、Voice VLAN IDが含まれたCDPフレームを受信します。

Cisco IP Phoneは、CatalystスイッチとCDPフレームを相互にやり取りすることによって、Voice VLAN IDを識別して、Voice VLAN用の音声トラフィックに対しIEEE802.1Qタグを付けて送信をします。

これにより、PCのDataトラフィックとVoiceトラフィックは混在することなく通信が可能になります。

設定例

Data VLANの作成

Switch# conf t
Switch(config)# vlan 10
Switch(config-vlan)# name Data
Switch(config-vlan)# exit

Data VLANを10にします。

Voice VLANの作成

Switch(config)# vlan 20
Switch(config-vlan)# name Voice
Switch(config-vlan)# exit

Voice VLANを20にします。

アクセスポートの設定

Switch(config)# int fastEthernet0/3
Switch(config-if)# switchport mode access
Switch(config-if)# switchport access vlan 10
Switch(config-if)# switchport voice vlan 20
Switch(config-if)# exit

  • ファーストイーサネットポートの3番目をアクセスポートに設定します。
  • Data用のVLANとして10を設定します。
  • Voice用のVLANとして20を設定します。
QoSの設定

QoSとは、「Quality of Service」の略で、トラフィックの属性に応じて転送処理に差異を付けたり、帯域保証を実施したりする技術です。

音声パケットは、遅延が発生すると音声品質に影響が出るためにQoSの設定は必ず必要になります。

Switch(config)# mls qos
Switch(config)# int fastEthernet0/3
Switch(config-if)# mls qos trust cos
Switch(config-if)# mls qos turst cisco-phone
Switch(config-if)# priority-queue out

  • QoSを有効にします。
  • ファーストイーサネットポートの3番にcos値を使用し、音声パケットを優先して送信します。
  • Cisco IP Phoneの音声トラフィックは信用するようにします。
  • 音声トラフィックは優先して送信するようにします。

他社製品のIP Phoneを接続したときの設定について

Cisco IP PhoneをCatalystスイッチに接続する場合は「音声VLAN」のコンフィグ設定を使用しますが、他社のIP PhoneをCatalystスイッチに接続する場合は「音声VLAN」ではなくトランクポートの設定をします。

また、接続するIP Phoneは、802.1Qのトランク機能をサポートしている必要あり、IP Phoneの設定で音声VLAN番号を設定しなくてはなりません。ここでは、音声VLANは20ですので、20を設定します。

以下、Avaya IP Phoneを接続した場合の設定例になります。

設定例

Data VLANの作成

Switch# conf t
Switch(config)# vlan 10
Switch(config-vlan)# name Data
Switch(config-vlan)# exit

Data VLANを10にします。

Voice VLANの作成

Switch(config)# vlan 20
Switch(config-vlan)# name Voice
Switch(config-vlan)# exit

Voice VLANを20にします。

トランクポートの設定

Switch(config)# int fastEthernet0/3
Switch(config-if)# switchport mode trunk
Switch(config-if)# switchport trunk allowed vlan 10,20
Switch(config-if)# switchport native vlan 10
Switch(config-if)# no cdp run
Switch(config-if)# exit

  • ファーストイーサネットポートの3番目をトランクポートに設定します。
  • トランクポートにData用のVLAN10と Voice用のVLAN20の通信を許可します。
  • Data用のVLAN10はネイティブVLANに設定して、VLANタグなしとして識別します。
  • CDPは無効にします。
QoSの設定

Switch(config)# mls qos
Switch(config)# int fastEthernet0/3
Switch(config-if)# mls qos trust dscp
Switch(config-if)# priority-queue out

  • QoSを有効にします。
  • ファーストイーサネットポートの3番にdscp値を使用して音声パケットを優先して送信します。
  • 音声トラフィックは優先して送信します。

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