遠隔地の商用ネットワークに障害が発生したとして、基幹ネットワーク機器に接続ができない場合には、コンソール端末をネットワーク機器に直接接続しなければなりません。
常時、保守員が常駐している場合は良いのですが、それでは、費用がかかるために基本的には、別の仕事を請負いながら、対応するということになります。
最寄りのサービスセンターから保守員を現地へ向かわせなければよいと考えるかもしれませんが、現場が地方の山林や離島、海外であったらどうなるでしょうか?
保守員が現地に駆け付けるのには半日、もしくは数日はかかることも考えられます。
ネットワークを経由してネットワーク機器やサーバ類を遠隔接続できないという事態は、保守運用会社にとってもエンドユーザーにとっても共通の問題になります。
エンドユーザーの情報システム部門から見れば、障害復旧が遅延する、保守員からの迅速な対応ができない等、リスクがあるのです。また、実際にネットワークを使用するエンドユーザーも業務に支障が出ることで、ビジネスの機会損失になります。
商用ネットワークに障害が発生したら、遠隔地から接続する方法は、コンソールサーバを利用した接続が一般的です。また、コンソールサーバに接続するネットワークは、電話回線とインターネット回線の2つを用意するのが良いです。
理由としては、インターネット回線の障害に備えて、電話回線を用意することで冗長性を確保するためです。
通常運用では、インターネット回線を利用して、もし、災害やインターネット回線の障害が発生した場合に接続ができない場合は、電話回線を利用して接続することができます。
コンソールサーバを経由した接続
コンソールサーバを導入すると、ネットワーク回線やルータ本体に障害が発生しても、他のネットワーク機器や各サーバはシリアル接続できます。
コンソールサーバでシリアル接続するということは、現場で保守員が作業するのと同様の環境ができます。
コンソールサーバのシリアル接続は、機器の初期化や通信に関係する設定も接続断にならずに行えます。例えば、TelnetやSSHなどでは、ネットワークやポートに関する設定を行えば、接続ができなくなってしまうことがありますが、それがありません。
現場との違いは、装置のランプ、ケーブルの状態、ファンの音が聞こえないこぐらいですが、こちらは、監視カメラを導入することで、解決ができます。
コンソールサーバのメリット
コンソールサーバの一番のメリットはシリアル接続を遠隔地から実現することです。
商用ネットワークの障害を想定したコンソールサーバの利用すること以外にも、日常の運用で各種サーバやネットワーク機器の情報収集や状態監視の目的でコンソールサーバを利用します。
ビジネスの現場では、ネットワークや情報システムを管理するメンバーは確保しつつ、セキュリティや運用管理、統制面の向上を求められるのが現実です。さらに、ネットワーク機器やサーバなどの各種装置はオープン化、小型化が進み、多種多様な装置を組み合わせて1つのネットワークシステムとして扱うようになっています。
コンソールサーバは、これらの多くの装置を集約し、運用管理面の向上、セキュリティの強化、障害の早期復旧を実現することができます。
運用管理における生命線であるシリアルポートを集約する
各種装置が持つシリアルポートは、コンソール端末から装置へと確実に接続できる生命線になります。
ほとんどのネットワーク機器は、初期設定は必ずシリアル接続を使用します。また、装置から発生する故障メッセージの出力などもシリアルポート経由から確実に収集できるというメリットがあります。
これらのシリアルポートを集約し、普段、使用しているネットワーク経路とは別に管理用の経路を確保することもネットワークの管理者は考慮すべきでしょう。
ネットワーク障害が発生したときでも、コンソールサーバを経由して各機器へアクセスすることができ、ネットワークのダウンタイム短縮につながります。
遠隔からのシリアル接続を実現する
遠隔からインターネット回線や一般電話回線を経由してサーバやネットワーク機器に接続し、操作・管理ができます。 インターネット回線の障害時にも一般電話回線を経由してアクセスできるために、遠隔によるオペレーションが可能になります。
セキュリティと作業効率が向上する
コンソールサーバの機能には、暗号化通信、証明書による認証、ユーザーに対するポートアクセスや操作権限の付与、ローカルやリモートからのサードパーティー認証と権限設定、IP/MACアドレスによるフィルタリング等が実装されています。
それらの機能を利用することにより、安全に外部からネットワーク機器に接続することが可能になるします。また、コンソール接続と同様に操作・管理が可能になり作業効率が向上します。
現場でのコンソールサーバの活用例
情報システム部門が利用する
データセンターやサーバルームでは、管理する機器も膨大な数になります。
特に大企業や通信キャリアなどはネットワークも大規模になり、ネットワーク構成も高度化、複雑化するので、作業効率を上げるために、コンソールサーバの導入は必要不可欠になります。
保守運用会社が利用する
保守運用会社のエンジニアは、情報システム部門の担当者が、障害の切り分けを行ったが、どうしても障害が解決しない場合に登場します。
運用保守会社のエンジニアは、 インターネット回線経由でコンソールサーバに接続を試みます。
万が一、インターネット回線で接続できない場合は、一般電話回線経由でコンソールサーバへ接続します。
どちらかの回線に接続してから障害の切り分けを行います。