Catalystスイッチが正常に起動できない原因
Catalystスイッチが正常に起動できない場合は、スイッチのIOSイメージファイルが破損している可能性があります。
IOSイメージファイルが破損している場合は復旧にあたり特別な手順が必要になります。
復旧手順は2パターンあります。
- フラッシュメモリの中にIOSは存在しているが、起動が正常に実行されない場合は、bootコマンドを使用して復旧させることができます。時間はかかりません。
- フラッシュメモリの中にIOSはないので、Xmodem機能を使用してIOSイメージファイルを転送して復旧させます。
IOSイメージファイルの容量によりますが、シリアルポートの伝送は低速のために、約1時間~2時間はかかります。
スイッチにブートエラーが発生した場合は、次のような状態になることが考えられます。
- スイッチのプロンプト表示がMODEボタンの長押しをしていないのにもかかわらず、「Switch>」ではなく「switch:」になっている。
この状態は、スイッチ本体が完全にブートアップしきっていない状態を意味してます。 - 「Error loading “flash:xxxxxxx~”」というメッセージが表示されている。
「xxxxxxx」の部分には、フラッシュメモリに格納されているIOSイメージファイル名が入ります。(例:Error loading “flash:c2950-i6q4l2-mz.121-12c.EA1.bin”)
このメッセージは何らかの原因でIOSイメージファイルが破損または消失しているため、スイッチがIOSイメージファイルを正常にロードできなかった場合に表示されます。 - ブートプロセスに失敗したのとメッセージが表示されている。
ブート元となるIOSイメージファイルが存在しない場合には、ブートプロセスに失敗したことを通知するメッセージがコンソール画面に出力されます。
Error loading “flash:c2950-i6q4l2-mz.121-12c.EA1.bin”
Interrupt within 5 seconds to abort boot process.
Boot process failed…
復旧手順
スイッチに転送するIOSイメージファイルを事前にPCの任意のフォルダに保存します。
スイッチ本体とPC端末をコンソール(ロールオーバー)ケーブルで接続します。
スイッチから電源コードを抜きます。
全面パネルの左側にあるMODEボタンを長押した状態で、電源コードを差し込みます。
STAT LEDが消灯後、MODEボタンを離すと、「switch:」プロンプトが表示されます。
flash_initコマンドを実行します。
switch: flash_init
load_helperコマンドを実行し、ブートヘルパーのイメージをロードします。
switch: load_helper
フラッシュメモリの内容を確認します。
Switch# dir flash:
Directory of flash:/
3 -rwx 285 Mar 01 1993 09:09:27 +09:00 info
4 rwx 192 Mar 01 1993 09:13:25 +09:00 c2940-i6k2l2q4-mz.121-22.EA13.bin
5 drwx 4416 Mar 01 1993 09:10:22 +09:00 html
321 -rwx 285 Mar 01 1993 09:13:25 +09:00 info.ver
322 -rwx 1909 Mar 06 1993 07:46:41 +09:00 config.text
323 -rwx 1100 Mar 06 1993 07:46:41 +09:00 private-config.text
7612416 bytes total (2113024 bytes free)
Switch#
deleteコマンドを使用して、破損しているIOSイメージファイルを削除します。
switch: delete flash: c2940-i6k2l2q4-mz.121-22.EA13.bin
Are you sure you want to delete “c2940-i6k2l2q4-mz.121-22.EA13.bin” (y/n)? y
File “c2940-i6k2l2q4-mz.121-22.EA13.bin” deleted
switch:
スイッチ側でIOSイメージファイルを受信する設定をします。copyコマンドを使用します。
switch: copy xmodem: c2940-i6k2l2q4-mz.121-22.EA13.bin
Begin the Xmodem or Xmodem-1K transfer now…
Tera TermからXmodemを使用してIOSイメージファイルを転送します。
Tera Termを起動させて、[File] ⇒ [Transfer] ⇒ [XMODEM] ⇒ [send…]を選択します。
[参照]を使用して、用意していたIOSイメージファイルを選択し、[開く]を選択すると転送が開始されます。
転送が完了するまでに、約1~2時間かかります。
スイッチにIOSイメージファイルの転送後、bootコマンドを使用します。
switch: boot flash:c2940-i6k2l2q4-mz.121-22.EA13.bin
loading “c2940-i6k2l2q4-mz.121-22.EA13.bin”…##########################################
###################################################
正常にスイッチが起動すれば、復旧作業は終了です。