- Catalystスイッチ スタックとは
- Catalystスイッチ スタック構成のイメージ図
- Catalystスイッチ スタック構成の接続図
- 電源の投入順番
- 設定可能なCatalystスイッチ例
- StackWiseとStackWise Plusの構成について
- Catalyst 3850 StackWise-480とCatalyst3750 StackWiseとの互換性について
- スタックマスターとスタックメンバーの決定について
- スタックマスター障害時のコンフィグレーションについて
- StackWise Plusの設定
Catalystスイッチ スタックとは
Catalystスイッチ スタックとは、正確にはStackWiseまたはStackWise Plusテクノロジーのことです。
このスタック機能によって設定情報やルーティング情報等をスタック内の全スイッチで共有することができるので、物理的には複数のスイッチが1台の仮想的なスイッチとして動作します。
そのため、スタック内の各スイッチごとの設定が不要になります。
Catalystスイッチ スタック構成のイメージ図

複数のスイッチが統合されて、仮想的に1つのスイッチになります。
また、コンフィグファイルも1つになります。
スタックはCatalyst3750系の背面にあるStackWise / StackWise Plusポートにスタックケーブルを接続して構成します。
スタックケーブルによる相互接続によりスイッチ間の帯域幅は、StackWiseでは、帯域幅は32Gbpになり、StackWise Plusでは、64Gbpsになります。
スタック接続はスタック内のスイッチがループ状になるように接続させる必要があります。
なお、1つのスタックは、最大で9台の物理スイッチで構成できます。
C3750系を購入すると、標準で50cmスタックケーブルが同梱されますが、4台以上で構成するなら距離により、1m や 2m のケーブルの購入を考慮する必要があります。
Catalystスイッチ スタック構成の接続図

スタックを構成するために、全てのスタックメンバーで以下の3点が一致している必要があります。
- IOSまたはIOS-XEのソフトウェアバージョン
- ライセンス
- SDMテンプレートの設定
電源の投入順番
初期導入時にスタックケーブルで接続した後に留意するのは電源の投入順番です。
例えば3台のスタック構成で上から順にスタックメンバー番号を1、2、3にする場合は、
一番上のスイッチから電源を投入します。
そうすると、1番上のスイッチをスタックマスターになります。
他のスイッチが起動していない場合、スタックマスターとなり、スタックメンバー番号1になります。
スタックマスターは必ず1台選定されるためで、スタックメンバー番号は初期値が1のためです。
一番上のスイッチが完全に起動した後、上から2番目のスイッチを起動します。
既に1番目のスイッチがマスターになっている場合は次に起動したスイッチはスタックマスターになりません。
その後、上から3番目のスイッチを起動するとスタックメンバー番号が3に割り当てられます 。
なお、スタックメンバー番号は電源を切っても保持されていますので、電源再投入毎にインターフェースの番号が変わるような事はありません。
設定可能なCatalystスイッチ例
- Catalyst 3750
- Catalyst 3750E
- Catalyst 3750X
- Catalyst 3850
※スタックがあるL3SWであれば、設定可能です。
StackWiseとStackWise Plusの構成について
スタックを構成する際に基本的にIOSさえ同じバージョンであれば、異なる機種同士でもスタックすることができます。
ただし、StackWise対応の機種とStackWise Plus対応の機種が混在した場合は下位互換で、StackWiseとして動作します。
Catalyst 3850 StackWise-480とCatalyst3750 StackWiseとの互換性について
Catalyst 3850スイッチとCatalyst 3750スイッチとではハードウェアアーキテクチャが異なることからCatalyst 3850「StackWise-480」とCatalyst3750系「StackWise」とではスタック構成を組めませんので、Catalyst 3850スイッチでスタック構成を組む必要があります。
また、StackWise-480の帯域幅は480Gbpsになります。
スタックマスターとスタックメンバーの決定について
スタック構成スイッチのうち1台がスタック動作を制御します。
そのスイッチをスタックマスターと呼びます。
また、スタックマスター以外のスイッチはスタックメンバと呼びます。
スイッチマスターは以下順番で選択されます。
順番1
現在スタックマスターであるスイッチ
順番2
最高のスタックメンバプライオリティを持つスイッチ
順番3
デフォルトのインターフェイスレベルの設定を使用していないスイッチ
順番4
高いプライオリティ フィーチャ セットおよびソフトウェア イメージを組み合わせたスイッチ
- IP Service Feature / 暗号化ソフトウェアイメージ
- IP Service Feature / 非暗号化ソフトウェアイメージ
- IP Base Feature / 暗号化ソフトウェアイメージ
- IP Base Feature / 非暗号化ソフトウェアイメージ
順番5
MAC アドレスが最小のスイッチ
つまり、ソフトウェアが同じであり何も設定していないCatalyst3750系同士をスタック接続して起動させるとMACアドレスが小さいスイッチがスタックマスターになります。
(マスターになるのかどうかはスタックメンバプライオリティの設定が推奨)
スタックマスターは以下イベントが発生しない限り役割を維持します。
- スイッチスタックがリセットされた。
- スタックマスターがスイッチスタックから削除された。
- スタックマスターがリセットされたか、電源が切れた。
- スタック マスターに障害が発生した。
- 電源の入ったスタンドアロンスイッチが追加されて、スイッチスタックメンバシップが増えた。
スタックマスター障害時のコンフィグレーションについて
スタックマスターにはスイッチスタックの保存済みのコンフィグが格納されます。
すべてのスタックメンバは定期的にスタックマスターからコンフィグのコピーを受信することにより、同期されます。
スタックマスターが使用不能になるとスタックマスターの役割を引き受けたスタックメンバが最新のコンフィグを保持することになります。
StackWise Plusの設定
スタックメンバのプライオリティの設定
スタックメンバのプライオリティ値は1~15の範囲で指定できます。
デフォルトでプライオリティ値は1です。
プライオリティ値は高い値ほどスタックマスターとして選択されます。
書式
Switch(config)# switch {stackmember-number} priority {priority}
設定例
Switch(config)# switch 1 priority 15
Switch(config)# switch 2 priority 14
Switch(config)# switch 3 priority 13
Switch(config)# exit
Switch# reload
スタックメンバのプライオリティを1~15の値で設定してます。
3台のスタック構成で、スタックメンバ1をプライオリティ15、 スタックメンバ2を14、 スタックメンバ3を13としています。
最後にreloadすると、再起動した際に設定したプライオリティ値に基づいて、スタックマスターが選出されます。
設定後、スイッチがどのスタックメンバ番号を持っているのかはshow switchでMACアドレスで確認します。
スタックで使用するMACアドレスの設定
スイッチスタックのMACアドレスはスタックマスターのMACアドレスで決まります。
スタックマスターが障害でスタックから削除されて、新しいスイッチにスタックマスターに引き継がれた場合、デフォルトでは、新しいスタックマスターのMACアドレスが直ちに新しいスタックのMACアドレスを取得しますが、設定により、スタックMACアドレスを変更する前の時間遅延を設定できます。
この時間内に、以前のスタックマスターがスタックに復帰した場合にはスイッチがスタックマスタでなくてもスタックはそのMACアドレスをスタックMACアドレスとして使用することになりますので、元のスタックマスターに戻す場合は、永続的なMACアドレスの設定が必要になります。
書式
Switch(config)# stack-mac persistent timer [ 0 | time-value]
設定例
Switch(config)# stack-mac persistent timer 0
timerを0にすることにより、スタックが新しいスタックマスターのMACアドレスに切り替わらない
ように、スタックMACの持続性を維持できます。
接続する構成によっては、この設定をしたほうが障害発生時の収束時間が速くなります。
ネットワーク構成に関係なく、この設定を推奨します。
Switch(config)# stack-mac persistent timer 10
スタックマスターの変更後、スタックMACアドレスが新しいスタックマスターのMACアドレスに
変更されるまでの遅延時間を設定になります。
stack-mac persistent timerによって数値を設定しない場合のデフォルト値は4分です。
こちらの設定例は、10分に変更する場合になります。
スタックメンバの番号変更
書式
Switch(config)# switch {current-number} renumber {new-number}
スタック内のメンバーはスタックメンバ番号(1~9)で識別します。このメンバ番号によりスタックメンバが使用するインターフェースレベルが決定します。
例えばスタックメンバ番号3なら interface GigabitEthernet3/0/Xになります。
新規スイッチ(スタック番号1)がスタック参加するとスタック内で使用可能な一番小さい番号に変更されます。
この設定は、現在のスタックメンバ番号から新たな番号に変更したい場合に使用します。
設定例
Switch(config)# switch 2 renumber 3
Switch(config)# exit
Switch(config)# reload slot 2
現在のメンバ番号2を新しく3にするの設定になります。
設定変更後に該当するスタック番号を再起動する必要があります。
スタックの確認コマンド
スタックメンバ番号、役割、プライオリティ値、スタックMACアドレスの情報を表示。
Switch# show switch
スタックのネイバーを表示。
Switch# show switch neighbors
スタックリングの詳細情報を表示。
Switch# show switch detail
スタック技術的を使用した冗長化のメリット
Cisco製品のL3スイッチで冗長化する場合、HSRPプロトコルを使用するのではなく、スタック技術
を使用して冗長化させる構成例が推奨されています。
スタック技術で冗長化したL3スイッチに接続する配下のL2スイッチとは、EtherChannelなどのリンクアグリゲーションで接続させるのが一般的です。

この構成におけるL2 / L3スイッチの障害時の収束時間は非常に短くなります。
また、複数台のL3スイッチの設定ファイルが1つだけで済むので、設計、構築、運用も容易になります。